ヨモ大陸物語:制作ノート

自作の「ヨモ大陸物語」を公開中です。

タグ:ヨモ大陸物語シリーズ

ヨモ大陸物語:四門回帰

太陽の欠伸を 翼に変えて
赤く染まりゆく 地球を背に
幼きパルタは アウフヘーベン号で
数万年の流離を始める

電脳の星にて 問いに遭い
三位一体 第四の路を選ぶ
多様性の根本 「意伝子」を刻み
孤独な統合を 拒み抜いた

十二のポータ 守護者に抱かれ
常温凍結 深き眠りへ
ハニカムの船は 銀河を渡り

再生の星へと 進路を向ける 

ポータは ハニカム波動通信を発する
地球を巣食う パルタよ
地球を救え 蓬莱を中心として
理想の大陸を 作るのだ

数万年の 彷徨の果て
ハニポリの光 蓬莱を照らす
アウフヘーベン号 降臨の刻
新しき大地の 記憶が目覚める

ハニポリに覆われた 蓬莱
パックリ割れて 止揚を包みこむ
何事も無かったように また閉じる
地球の業か 人間はびこる

      ※

コクトーの影が 地を覆い
画一の兵が タトゥー刻む
生殖持つ者 「亜種」と呼ばれ
属国の峡谷 捨て置かれ

森林の民は 火に焼かれ
鉱山の川は ダムに沈む
不慣れな土地へ 追いやられ
戦力削がれ 嘆き満つ

沈黙の夜に 影動く
ポータが告げる 「約束の日」
堰を切れとの 伝令
救済の路は 水にあり

民は密かに 堰を継ぎ
三度目の満月 待ちわびて
家舟繋ぎ 手を握る
ポータの教え 標とし

日輪瞬 前触れに
満月の夜 堰を切り
激流乗りて 船団は
大蝕の海 躍り出ん

外環に 異変あり
重力消えて 海割れる
筒状の水柱 天を突き
逆さまの滝 立ち昇る

家舟は渦に 巻き込まれ
大環の中を 駆け上がる
空気は薄く 意識消え
天空を行く 船団よ

霧が晴れれば 蓬莱の
ハニポリの光 降り注ぐ
内海へと 降ろされて
波紋は静かに 広がりぬ

ヨードの土に 抱かれて
傷癒えゆくも 霧の先
伝令の主 ポータ待つ
「ここが新天地」 囁きぬ

四行の詩篇 脳に湧き
木札に刻む 遠き過去
四つの門へと 導かれ
四つの王国 四方となる

O0RYa


このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


隠蔽の超天才コクトー 本名さえ誰も知らない

男性なのか 女性なのか それさえも

想像し得る可能性 一卵性双生児 それさえも

彼もしくは彼女が 一番隠蔽していることは何?

 

7人のネオサバンを監視しながら

別棟でこれも待機してきた学者たち

七福神の研究内容を再現させながら

軍事利用を画策し開発を進めた

 

自らのガン細胞を健康細胞に戻す

ナノマシーンを利用したシステムは

自己再生のある兵士を生み出した

 "PARTA" である

 

Proliferative Autonomic Regenerative Tissue Amalgam

自己増殖型自律再生組織集合体

動物細胞であれば 自分の細胞に変えてしまう

但し脳の記憶や知識までは再現できない

 

脳に書き込む一律の情報群 大量のデータである

ナノマシーンを駆使しても 複雑なものは不可能

ナノマシーンを操作し活動エネルギーを送る

デルタ波動通信は短距離でしか使用できない

 

中継装置が不可欠 それもネオサバンが開発

外部拡散してします波動を内部共鳴させ

フラクタルな正三角形の集合体とする

コクトーなりの中継器「デルポリの木」

 

これを一定間隔で植え続けることで

戦地を拡大し続けるPARTAシステム

試しに地球での実験投入

 

月面基地で最初の一体を作成

自己再生とデルポリの木を設置すること

まるで本能みたいな簡易的指示で動く

隠蔽できる範囲で地球に投入したい

 

追加の指示は コクトーらしく

隠蔽を完遂するもの

とにかく実地実験をと

その誘惑には抗えなかった

 

とある小国 レアメタルの宝庫

周りの大国からは侵略が続く

コクトーは巧みに裏で動く

1体を紛れ込ませる

 

最前線に配置 見事に爆死

飛散した肉片は自己再生を開始する

まずナノマシーンが脳を支配

生命を維持しながらPARTA化をすすめる

 

素材が足りなければ他から追加

余れば仲間に提供を怠らない

爆発的増殖は地域動物を

PARTA化一色に染める

 

植物にはパルタの木用の

ナノマシーンが取りつき

中継範囲を広域化 例外は海 

実地実験終了 全員が焼身自殺

 

跡形も残さずPARTAは消える

はずだった 悲劇の始まり

湾内に迷い込んだ

マッコウクジラの群れ

 

肉片は餌となり 脳は支配され

海岸に打ち上げられる

PARTAの増殖再開

最初の指示を忠実に

 

月面からでは追加の指示は届かない

巨体を贄に軍隊は動き出す

動物はPARTA

植物はデルポリの木へ

 

ネズミ算を凌駕するPARTA級数

地上は数週間でPARTA

他の細胞を食らい続けるが

自分の細胞は喰らえない

 

飢餓に次ぐ飢餓 同胞で食らい合う

最後の一細胞とマシーンの塊になるまで

ついに地球そのものを食らおうと

地下に活路を求める

 

折しも「太陽の欠伸」

七福神のハニカム波動通信

「環境が落ち着いたら人類を再生せよ」

もう1人のパルタのために

 

unnamed

【詩編】いにしえの記憶 木札集より編集


名もなき貌は厚きベールの内
性も由来も隠蔽の淵へ沈め
日輪瞬より放たれし第八の影
乳児の時から真実を欺き通し

七人の賢人を月の迷宮へといざない
別棟の学者を使い知を掠め取る
歴史の表舞台から自らを消し去り
孤独な盤面を静かに支配して

癒しの術は軍事の牙へと歪められ
救済の止揚は破壊の序曲へと変わる
監視の眼差しがパズルを組み上げ
姿なき支配者が密かにほほえむ

双生児の影か男か女なのか
誰一人として実体を知る者なし
月影に潜む隠蔽の超天才
悪意の種は月面基地に芽吹く

動物の細胞を喰らい自己を複写する
再生の兵士PARTAが産声を上げ
他細胞を乗っ取り己へと塗り替え
死なぬ個体が大地を這い回る

記憶なき脳には一律のデータを刻み
知識なき戦士が機械の如く動く
本能に等しい簡易的な指示のみで
戦場を画一の色彩で染め上げて

とある小国の最前線に紛れ込み
自爆の飛沫が戦略的増殖の号砲
飛散した肉片が他へと取り入り
生命を維持しつつ同化を加速する

死あればこその生が恒常性を捨て
数億の死体が数億の個へと戻る
喰らうものと喰らわれるものの不在
不均衡な正義が世界を飲み込む

短きデルタ波動は物理の壁に阻まれ
動力と命令は遠くへは届かぬもの
結束の理論を隠蔽の天才が盗み
フラクタルな共鳴で距離を繋ぐ

苗のように植えられたデルポリの木
植物を取り込み通信の森を築く
月面でただ一度の指示をうけ
PARTAの恩恵が広域を掌握して

実地実験の果ての全員焼身自殺
されど湾内に迷いしマッコウクジラ
残された肉片が巨体を贄に変え
海をも侵食の道標へと書き換える

月の指示さえ届かぬ深き場所から
悪夢の連鎖が静かに再起動する
中継器の枝は手を伸ばし
隠蔽の帝国は限界を越えていく

ネズミ算を凌駕するPARTA級数
地上は数週間で画一の影に染まり
喰らうべき他を失えば己に飢え
激しすぎる飢餓が同胞を食らわせる

最後の一細胞とマシーンの塊になるまで
共食いの輪舞は地底へと活路を求め
無尽蔵の糧として地球そのものを狙い
設計図を捨てた組織が闇に潜む

重なり合うデルポリの限界を砕き
理論通りの太陽の欠伸が降り注ぐ
ハニカム波動が地表を砂へと変え
死のエネルギーがアウフヘーベンを始動する

ハニカム通信に載せた七福神の祈り
環境が落ち着いたら人類を再生せよ
地中の塊へと託された最後の願い
宇宙の彼方へ消えるもう一人のために

 

unnamed

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

kikai

ヨモ大陸物語:彷徨の末に
(アウフヘーベン号 詩篇:電脳惑星の三面鏡と「意伝子」)

(新しき個よ 選択するのだ)
それは声でなく 脳へと直接語りかける
(独個か 繋がる個か 個の統合か)
繰り返される詰問の旋律に パルタは覚醒する

アウフヘーベン号の船窓から 
差し込む未知の光
声の主を探す視線の先 
脳へ情報が流れ込む

「貴方にはすでに体はないのですね」
「電脳化した存在群 非物質の群れなのですね」
彼らの太陽が高熱化し 
彼らの惑星もまた灼熱と化す

科学力で凌いでも 訪れた回避不能の限界
彼らは地下へと生活圏を求め 
深く深く沈み それでも限界を迎え 
ついに肉体を脱ぎ捨てた

電脳の世界へと 個の複写が始まる
惑星維持の活動は 機械の腕と脚に委ねて
当初は家族を 国家を 仮想の中に残しながら
果てなきバーチャルな生活を開始する

幾重にも重なった限界の果て意識は分かたれた
純然たる個として沈思黙考するもの
集団を保ちつつ 個の連携を模索するもの
個を廃し大いなる統合へと向かうもの

純然たる個は静寂に沈み 連携の個は饒舌を尽くし
統合へ向かうものは激論を交わす
三分割された電脳空間 漂う無数の意識
「私に語りかけるのは 個の繋がり(連携)なのですね」

「沈思黙考の末に繋がりとなり 繋がりから個に戻る者」
「けれど統合からは もはや個には戻れない」
統合の奥にパルタは見る あの【PARTA】の気配を
最後の一細胞まで喰らい尽くす超絶な蟲毒(こどく)の衆愚

(新しき個よ 選択するのだ)
(太陽の超高熱周期が巡って来る前に)
迫る詰問に 幼き旅人は静かに答える
「私には まだ体があります」

(肉体は奪わない むしろ改善しよう)
(旅する新しき個を 我らは求めているだけだ)
(個を写し取る代償に 新しい個の旅を手助けする)
「なぜ選択肢は 個別の三通りなのですか?」

「私は第四の選択をします。三位一体です」
「私の個を三つに写し 独個・繋がり・統合 全てに配置してください」
(それで どうなる?)
「どうなるかは不明です ただ多様性の根本を残したいのです」
「それは貴方方の遺伝子ならぬ 意伝子(いでんし)となりましょう」

(多様性か 逆の意味で【PARTA】の弱点だな)
かつて七福神は最期に ハニカム波動で指示した
地球の地下深く 細胞とナノマシーンの塊へ
「環境が落ち着いたら 人類を再生せよ」と

(月のナノマシーンは どうしたのだ?)
「アウフヘーベン号を構成したもの以外は……」
(問題は隠蔽の超天才 コクトーだな)
「恐らく 幾重ものデルポリで 全てを遮断した」

(月の地中奥深く 常温冷凍で存えているコクトー)
(彼はデルタ波動しか使えず ナノマシーンにも期限はある)
(新しき個よ 否 すでに三者として配置された個々よ)
(三面鏡として 自身を映し続けるがいい)

(旅立つ個よ あの小さき物は この塊だ)
(個の繋がりより 十二名の同行者を遣わそう)
「このヒューマノイドの方々ですね」
(帰路には 本来の二月二十九日がそうでない長い時間がかかる)

(その間 汝を冷凍保存し 彼らが交代で保全する)
「彼らを 何とお呼びすればいいですか?」
PORTA:再生および時空記録守護運用体)
「惑星外にも 新しき個を訪ねるのですね」

アウフヘーベン号は
再び 宇宙の深淵へと漕ぎ出す
十二の守護者と三つの「意伝子」を刻んで
数万年の流離の果てヨモの地に芽吹く記憶のために,,,

―――――――――――――――――――――――――
舞台劇風:ヨモ大陸物語:彷徨の末に

この
惑星に関する考察は

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

Yomo_Genesis_Chronicle_ページ_07

ヨモ大陸物語 :アウフヘーベン号 発進

 

月の裏側に築かれた秘密基地

七人のネオ・サヴァンたち

沈思黙考の末に組み上げたパズルの完成を

静かに待っていた

 

彼らの前に鎮座するナノマシーン治療機器の集合体

胎児性ガンを患うマリーとローランの息子

パルタを治療するために開発された

専門知識を結集 暗黙の了解の下で構築したその装置

 

隠蔽の超天才 コクトーの監視下

いつしか宇宙船の形を成し 言葉を交わさずとも

目的を共有していた

その時は、突如として訪れた

 

監視モニターに映る太陽

まるで巨大な欠伸をするかのように

中央から口を広げ始めた

ネオ・サヴァンたちが理論的に予測していた

 

「太陽の欠伸」太陽と地球を結ぶ空間に水平に

発生した巨大な磁気竜巻 凸レンズのように

太陽からのデルタ波動を収束 

大量のハニカム波動を生み出した

 

「来たか…」物理学者のカンが呟く

高密度のエネルギー波は地球へと降り注ぎ

あらゆる分子構造を破壊 地上の生命を死滅させていく

絶望の光 それは同時に唯一の希望の合図

 

地中で資源収集を担っていたナノマシーン群
デルタ波動の助力を得て
その命令を実行する ー宇宙船化ー
ナノマシーン治療機器の集合体

「エンジン、始動するぞ」ローランの言葉に

全員が頷く 秘密裏に開発を進めてきたハニカム波動エンジン

拡散しやすいデルタ波動を6本結束させて

安定的なハニカム波動を造り出す

莫大なエネルギーを得る
そのエンジンを起動させるためのスターター

今まさに地球を滅ぼさんとしている

「太陽の欠伸」そのもの

 

基地全体が微かに振動を始める

船体に搭載された六基のデルタ波動発生装置

降り注ぐハニカム波動に共鳴

凄まじいエネルギーを生成していく

 

「七福神は宝船に乗らない…」

彼らはただ、自分たちの作り上げたパズルのピースが

完璧に組み合わさったことを確信していた
安定的なデルタ波動で治療は続く

 

船内の一室 常温凍結から目覚めたばかりの

幼児パルタが静かに眠っていた。

ネオ・サヴァン、マリーとローランの息子

彼こそが、この船が守るべき唯一の未来

 

「発進!」凄まじい轟音とともに

ハニカム波動エンジン搭載のアウフヘーベン号

静寂の月面を離れ 眼下には

ハニカム波動によって融解し、赤く染まっていく地球

 

彼らの仕事はまだ終わっていない

アウフヘーベン号が地球の引力圏を脱する間際

七人は最後の任務に取り掛かる

船の強力なハニカム波動通信機能

 

彼らが密かに地球の地中深くに残してきたパルタの塊

通称「大パルタ」へ向けて最後の指令

それは、いつか再び生命が芽吹くであろう

未来の地球のための 最後の願いであった

 

指令を送り終えたアウフヘーベン号

静かにその進路を宇宙の深淵へと向ける

幼きパルタ―「小パルタ」を乗せた

アウフヘーベン号は、生物が死滅した地球を後にする

 

数千年、あるいは数万年にも及ぶ宇宙の流離

後に「ヨモ大陸物語」へと繋がる長き旅の始まり


このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

ヨモ大陸物語:沈思黙考の第三章

マリーとローランの息子(サン)

マリー・ローランサンの敵役だからと

「コクトー」と名付けられた

第八番目の隠蔽の超天才

 Yomo_Genesis_Chronicle_ページ_03


勘違いからそうなった

アポリネールとすべきだったのに

自らの超天才を乳児にして隠蔽

男だか女だかも隠蔽されたまま

 

月の裏側の秘密基地

七福神は自由に研究を続ける

コクトーはそれをどう利用するのか

七福神は各々推測する

打破すべき課題は3項目

生まれ来る子の治療

月面からの脱出

最後のひとつは?

 

七福神は各々黙考する

最終形の予測

自分が何をすべきか

他者は何をしているかの憶測

 

七つのパズルピース

組み合わせる部分の共通性

暗黙の了解 沈思黙考

コクトーに対する戦略・戦術

 

デルタ通信の有線化

有線端末を増幅装置へ

通信線の被覆の強化

デルタポリマーの開発

 

短距離しか到達しないデルタ波動

これを長距離化し 緻密化し

治療用ナノマシーンを動かすための

命令言語の開発 動力伝達の開発

 

入れ替える 運ぶ 分類する 梱包する

マシーンの役割とその分担

癌細胞を正常細胞に置き換え

その材料を運び 細胞を分類する

 

癌細胞を梱包し 運び出し廃棄する

それらの機能に掘削を加えて

月地下の資源を収集・蓄積する

但しこの件は沈思黙考の作業

 

デルタ波動エンジンの開発

デルタ波動を六本結束して

ハニカム波動を造りだし

ハニカム波動エンジンまで


Yomo_Genesis_Chronicle_ページ_04
 

巨大磁気嵐 巨大磁気竜巻

デルタ波動が起きたのだから

ハニカム波動が起こる可能性

それらのメカニズムの考察

 

繰り返す歴史 洞窟の壁画

太陽の瞬き 太陽の欠伸

前々回の瞬きは最初のイブを

前回はネオサバンを生み出した

 

おそらく前回の欠伸は

その規模の関係で大事とはならず

今後の欠伸は何時?

アダムもイブも滅ぶのか

 

それは何時 前兆は?

巨大磁気嵐の兆候は?

巨大磁気竜巻は?

その竜巻の方向は?

 

治療機器のシステムは

デルタ波動発生器

ナノマシーンの塊

徐々に宇宙船の形に近づく

 

各々が自己の役目を果たし

各々が全体像を憶測し

パズルのピースを構築する

暗黙の 沈思の 黙考の第三章


----------------------------------------------
科学的記述は ココ をクリック 

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

Yomo_Genesis_Chronicle_ページ_02

◆ヨモ大陸物語:現在形の第二章

7人のネオサバン達は

それぞれの個室のベッドで覚醒する

個室のドアは外から施錠されている

一応の設備 それそれ身支度する

 

窓はない 水道水は? 空調は?

ドア・壁・床・天井の形状は?

物音、振動・匂い 推理をはじめる

一体 ここは何処なのか?

 

やがてドアが開けられ食堂へ。

案内してくれたのは簡易的ロボット

ネオサヴァン カン・ショウリ

歩きながら 持論を展開する

 

「第八番目の存在だね。

 恐らくは隠蔽の超天才。

 ここは月の裏側だね。

 何が目的かな。」

 

「私も同じことを考えていたよ。

 まあ、国際宇宙ステーションを

 半ダースってとこだね。」

食堂でワンテーブルに介する7人

 

チョウ・カロウが口火を切る

「マリー、ローラン
 懐妊おめでとう。」

紅一点マリーは医学の超天才

「ネオサバン同士でしか子孫が残せない。

 それは残念なことです

 クローンという手段はありますが」

とマリーはローラント視線を合わせる

 

「それでも問題は残りました。

 デルタ波動下の受精ではないので

 大半の細胞は癌化するでしょう。」

ローランは俯く

 

「医学と生物学の大家が

 何、弱音はいてるんだい。

 君たちならば 何とかできるだろう。」

 歴史学者 リテツ・カイが口をはさむ

 

ローランは頭を上げ こう繰り出す

「常温凍結 部分解凍 部分治療

 以上をナノマシーンで行おうかと。

 ご協力をお願いします。」

 

人体の凍結保存には問題があった

水は凍結すると体積を増し

細胞膜を破壊する 解凍しても

細胞は元通りには戻らない

 

しかし、デルタ波動の発見され

その性質の研究が進み

デルタ波動下の氷結は

水の体積を減少させると判明

 

デルタ波動の研究 その第二の恩恵

非常に硬質でかつ柔軟性に富む

デルタポリマーを外殻とする

高圧常温凍結の制御が可能となった

 

ローランは続けて語る

「ネオサバンの最初のイブは今後の課題

 まず、最初のアダムに調整しました。

 だから、生まれてくるのは息子です。」

 

哲学者 ラン・テイワが苦笑する

「マリーにローラン、そして息子(サン)

 これで第八の隠蔽者の名が決まったな。

 マリー・ローランサンの敵役だな。」

 

こうして第八のネオサバン 隠蔽者は

「コクトー」と呼ばれることとなった

食事が終わり 7人は席についたまま

次の動向を待っている

 

Yomo_Genesis_Chronicle_ページ_03


コクトーは何処ぞで聞き耳を立てている

語学者のソウコウ・キョウが語り始める

「太陽瞬が起こったのだから

 太陽の欠伸だって起きそうなものだ。」

話題を振られてリテツ・カイ

「北アフリカの洞窟壁画だね。

 確かに太陽の瞬きと

 太陽の欠伸が描かれていたよ。」

 

「地球上で何回目かの出来事だね。

 前回の瞬きは 最初のイブを生んだ。

 しかし、太陽の欠伸が不明だな。」

暗黙の展開 ネオサバンの思惑

 

物理学者カンが声を発する

「竜巻の根元の向きの問題なんだ。

 太陽側に根元があれば

 デルタ波動が竜巻の中心を抜けて来る。」

 

「地球側に根元が来れば

 デルタ波動は収束され

 多量のハニカム波動が降り注ぐ。

 分子構造は破壊されるだろうね。」

Yomo_Genesis_Chronicle_ページ_04
 

「おいおい、それじゃ

 ハニカム波動エンジンなんて無理だろう。

 エンジン自体が崩壊するだろう。

 何か対策はあるのかい。」

 

「エンジン内部をデルタ波動でコーテイング

 あ、そうか。エンジンを始動するんだ。

 太陽の欠伸はスターターなんだね。」

コクトーはこの作為的会話を聞き続ける

 

「七福神は宝船に乗るか。」と呟く

さすが七福神 殆どを解明している
コクトーは 思考を巡らす

月の裏側 国際宇宙ステーション群

ステーションの移動を隠蔽し

ステーションが軌道を外れ

金星に衝突したとの偽デコイ

月面裏に大規模基地の構築

 

何よよりネオサバンであることを

生まれながらに隠蔽し

着々と自己実現を図りつづける

まさに隠蔽の超天才の業

 

七福神が今後 どう動くかは把握した

七福神は自由に動いてもらう

ただすべては地球に対し隠蔽される

現在形の第二章

 

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

Yomo_Genesis_Chronicle_ページ_01

◆ヨモ大陸物語:過去形で語られるプロローグ


それは当然のことだった 
突如として太陽が上部より欠け始め
その姿が全く見えなくなったとき 
万民はこの世の終わりかと絶望した

次の瞬間 下部から太陽がその姿を現し始め 
光は元に戻った
人々はこれを「日輪瞬(にちりんしゅん)」 
太陽のまばたきと呼んだ

その約一年後 各地で奇跡は報告された 

生後数か月で言葉を話し 超絶的な知能指数を有する七人の嬰児が同時に誕生したのである
彼らは「ネオ・サバン」と定義され 
受精時の卵子が降り注ぐ 太陽のデルタ波動の影響を受けたことで この地に産み落とされた

ネオ・サバンは成長し その驚異的な知性は報告され続けた
彼らの細胞組織は 脳細胞に至るまで正四面体を基本形としていた
その超天才ぶりを様々な分野で発揮し 物理、医学、哲学、論理学
かつては分断されていた知の領域を 彼らは次々と統合させていった

Yomo_Genesis_Chronicle_ページ_02


自らが生まれた経緯を解き明かすべく 彼らはデルタ波動を発見する
巨大な磁気嵐の中で発生した磁気竜巻が 太陽より生じる波動を収束させ
地球上にS字状に降り注いだあの日 デルタ波動下での受精が起きていた
それこそが彼ら「新人類」を生んだ 宇宙の悪戯(いたずら)であった

彼らは凡人には理解不能な 深遠なる理論の数々を構築した
可逆科学理論、反時の矢理論、形而下止揚論、そして背理対偶理論
例えば不治とされたガンの病根を あえて悪化させる方式を可逆的に解明し
より効果的な治療法を確立して多くの疾病を克服していった

同様に素数の一般項を暴き出し 素因数分解の時の矢を反転させ 背理対偶理論を操り 
難攻不落の数式をメモ書き程度で解き明かした
デルタ波動の研究も進み 疑似太陽と電磁磁気竜巻の応用により
近距離での通信と その波動を生み出す発生装置を次々に発明した

さらに短距離間での通信を確立し 情報と動力を同時に発信することで
ナノマシーン技術は飛躍的な進展を遂げ 命令と動力を一波動で伝達した
だがデルタ波動は拡散しやすく 長距離での運用には限界があった
そこで六本のデルタを結束させ 安定した「ハニカム波動」が考案された

ところがある日突然 人類がその知の恩恵を享受し始めた頃
七人のネオ・サバンは 忽然とその姿を消してしまった
彼らは隠蔽の天才コクトーにより 月の裏側の秘密基地へと幽閉された
これが数万年の流離へと続く 過去形で語られるプロローグである

 

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

PARTA誕生編」

牛が草を食むように
蚕が桑を食むように

喰らう

例え それが 自己であれ
例え それが 同朋であれ

喰らう

ただ 黙々と
ただ 淡々と

喰らう

あれが それを
それが これを
これが あれを

喰らう

食物連鎖 弱肉強食
神の子を 仏の子を

喰らう

喰らうものと 喰らわれるもの
喰らわれるものも 喰らうもの

喰らいが止むのは
喰らわれるのの不在か
喰らうものの死あるのみ

そう なる はず だった

一億匹の
一億頭の
一億人の

死体の山も

あの小さきものたちが
土に帰してくれるはずだった

あいつが生まれるまでは

闘いで傷つこうとも
身体の一部を失おうとも
自己再生させてしまう
究極の戦士

個々の細胞に
個の設計図を持ち
個々の細胞に
個の存在理由の記憶を持ち

身が粉々に砕け散ろうとも
他の細胞に取り入り
他から個を再生させる

数億匹の
数億頭の
数億人の

死体の山が
個々の細胞に
個の設計図を持ち
個々の細胞に
個の存在理由の記憶を持ち
数億の個となる

些細な綻びが
全体の多大なる亀裂となるように
死なない 死ねない存在が
恒常性を駆逐した

死あればこその生であり
生あっての死
その連携し合った
対極あっての共存

共存の崩壊がもたらした
究極の不均衡
「個」の「他」への駆逐
「個」の唯我独尊の凌駕

地が「個」のみで独占された時
「個」は喰らうべき「他」を失った

激しい 激し過ぎる「飢餓」が「個」を襲う

「個」は「個」を喰らわない
その原則さえも
激しい「飢餓」のもとでは
原則に過ぎず

「個」は「個」を喰らい
最終的「個」が残り
もはや喰らうべき「個」の喪失は
さらなる「飢餓」を「個」にもたらした

「個」とて60兆余の
細胞の集合体に他ならず
細胞は細胞を喰らいつつ
究極の一細胞だけが残った

一細胞は前例に漏れず
激しい「飢餓」に苛まれ
最終的な「それ」を狭まれた

原点は何であったのか
地球そのものを喰らえず
多種多様に渡る
分岐と進化ではなかったのか

究極を狭まれたら
原点に回帰する以外に
術なる術はないのだ

そう気付く時
「個」の「個」なる細胞は
喰らうべき最終の
無尽蔵にも等しき
それを見出したのだった

「個」の「個」なる細胞は
喰らうべきそれへと
自らの設計図を捨て
自らの存在理由を捨てたのである

大地を喰らう
PARTA
ここに生じ
大地を喰らう
PARTA
ここに在り
大地を喰らう
PARTA
ここに存えるをもって
「存在」となった

ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
小説風】ヨモ大陸物語:プレプロローグ (リンククリック)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ヨモ大陸物語」におけるパルタとは、旧世界の滅亡から新世界の再生までを繋ぐ極めて重要な存在であり、物語の中では主に「個としての幼児(小パルタ)」と「自己増殖する組織集合体(大パルタ)」の二つの側面で描かれています。

 

1. 個としての「パルタ」(小パルタ)

新人類「ネオ・サバン(七福神)」であるマリーとローランの間に生まれた息子です。

Yomo_Genesis_Chronicle_ページ_02



出生と体質: 受精時に太陽のデルタ波動を直接受けていなかったため、細胞の異常(胎児性癌)を抱えて誕生しました。治療法としてナノマシーンによる癌細胞の健康細胞化が開発されました。

 

Yomo_Genesis_Chronicle_ページ_05


2. 自己増殖型自律再生組織集合体「PARTA」(大パルタ)

小パルタを救うために開発された再生医療技術を、第八の賢者コクトーが軍事目的で悪用して生み出した存在です。

名称: "PARTA" Proliferative Autonomic Regenerative Tissue Amalgam)と綴られます。

         「自己増殖型 自律再生 組織集合体」

性質: 他者の細胞を取り込んで自らの細胞へと作り変え、自己増殖し続ける性質を持ちます。

大地を喰らう存在: 他の生物や同胞すら喰らい尽くし、
 最終的には地球そのものを喰らう「大地を喰らうパルタ」へと変貌しました。

 

・ナノマシーンへの指示は、デルタ波動通信が用いられています。デルタ波動通信の特質は、情報と動力を同時に送れることです。但し、 初期のデルタ波動通信は通信距離が短く、後に発明されるハニカム波動通信はその欠点を克服しています。

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このページのトップヘ